ソードワールドRPGオリジナル
マーファ神官の手記
 
 



 巡礼の旅に出ていたマーファ神官、マリンがその部族に助けられたのはカーン砂漠の入り口でのことだった。

 自由人の街道を1人旅していたマリンは、比較的安全なその街道だということに油断し、護衛を雇っていた無かった。
 そんなマリンを襲ったのは、はぐれ狼の群れ。
 護身用のフレイルを手に、どうにか攻撃をいなしながら逃げ続けた。
 逃げ続けて、逃げ切ったのだが……気づいたときには、周囲の景色が一変していた。
 ごろごろした岩場にまばらに緑が見えていたのが、乾いた砂、砂、砂。見渡す限りの砂になっていたのだ。
「……いけない、カーン砂漠……!」

 悪意の砂漠の異名を持つカーンには、余所者を実力排除してしまうことで有名なキケンな遊牧民が生活していたりする。
 もしそんな連中にハチ合わせてしまったら、命は無いだろう。
 慌てて元きた道を戻ろうとするが、すでに方角はわからなくなっていた。
 途方にくれて砂漠の入り口をさ迷っていたマリンだったが、女の声に制止された。
「そこから先、危険。下手に踏み入ると、殺される」
 片言の東方語。
 声の主を探ると、砂丘の上に1人の女が立っていた。
 年のころなら20代頭。浅黒い肌をひらひらしたマントのようなもので覆い、頭にターバンを巻いている。腰に剣を佩いていたのを警戒したが、抜き放つどころか手もかけていない。
「あ、あなたは……」

「わたし、ラビィ。お前こそ、こんなところで何をしてる?」
 女はラビィと名乗り、砂丘を駆け下りてきた。


「ここがあなたの集落ですか……」

「ああ。熱砂の護り手。それが私の部族だ」
 迷子だと告げると、夜が明けてから外まで連れて行ってやるといい、ラビィはマリンを集落に案内してくれた。
 幸運なことに、「熱砂の護り手」は外とも交流のある友好的な部族で、マリンが迷子だと知ると手厚く受け入れてくれた。
「あたり一面砂ばかりなところですのに、活気がありますのね……」

 苛酷な環境にも負けず、その中で生活をしている部族を目の当たりにして、感動しているのだろう。
 マリンは胸の前で手を組んであたりを見渡している。
「何も無いところだが、ずっと安全だ。安心して、休んでいくといい」
 天幕のひとつへと案内され、中へ入る。
 その中は材質などは違えど、自分が暮らしていた村の一般家庭の内装となんら変わりはなかった。
「珍しいか?」
 わぁ、と呟き石造りのテーブルなどを撫でていると、ラビィが声をかけてきた。
「これは、砂漠で取れた岩石を掘り出して作ったんだ。こっちは、砂漠の外の森で切った木を使っている」
 どうやら、ラビィがいうにはこれらすべて部族の者たちの手製家具であるらしい。
「素敵ですわ……周囲にあるものを利用し、生活する。まさに自然との調和ですわね」

 マーファ的には大絶賛なのだろうか。少なくとも、マリンとしては喜ばしいことだったのだろう。
 キラキラと目を輝かせている。
「それよりも、食事だ。遠慮せず、食っていってくれ」
「まぁ……わざわざお食事まで。本当にありがとうございます」

 ぺこりと礼をして、促されるままに席に着くマリン。
 石造りのテーブルに、大皿代わりの大きな葉が置かれる。その上には、ナツメヤシやら干し肉やらが乗っていた。
「こんな環境だ、たいしたものはないが」
 確かに、このような砂漠で新鮮な野菜や肉汁溢れる肉などは期待できない。
「そんなことはありませんわ。質よりも誠意、そして何かを食べられるということに感謝です」

 マリンは短くマーファに祈りを捧げると、ラビィと共に食事を始めた。
「それは、確か神への祈りだったな」
「ええ、その通りですわ。あなた方は、信仰はおありなのでしょうか?」

 食事をしていると、話にも花が咲く。
「我々は、精霊を崇めている。風と火の力が強くなった結果生まれた砂漠だが、そこにはもちろん土もある。地面を掘れば水も沸く。精霊は強く、逞しく生きているから……」
 などと、精霊信仰について熱く語りだしたり。
 マーファ神官ではあるが、そういった信仰にも理解を示すマリンは興味深くその話に耳を傾けた。


 そしてその夜。
(………うう、やはり催すものは催してしまいますわね)

 避けることの出来ない生理現象。
 それが静かにマリンを襲い始めていた。
「す、すみませんラビィさん。あの、ご不浄は……」

 まぁ要するに便意であった。
 マリンは傍らで剣を研いでいたラビィにぼそぼそと声をかける。
「ゴフジョウ?」
「あ、いえ……その、おトイレです」

 その単語が難しかったのか、聞き返すラビィに頬を染めて言い直すマリン。ちなみに、ラビィたちは独特の訛りがあるらしく、東方語でも通じない言い回しがあったりした。
「ああ、厠か。こっちだ、ついてくるといい」
 ラビィは事情を察し、剣を置いて立ち上がった。
 さすがにこの天幕にはトイレなどあるはずもなく、外へと出て行く。
 普通の一般家庭や酒場ならば、建物の裏手にトイレが別棟で作られているのが普通だ。だが、天幕の裏にそれらしくものはない。
 ラビィについていくと、別の天幕へとたどり着いた。
 天幕が3つ並んで、その対面にも3つ、合計6つの天幕が並んでいた。
 それぞれの入り口に、「♂」と「♀」の印がぶら下がっている。
(意外でしたわ……男女別にされてますのね)
 こういった蛮族の場合、男女別などほとんどないのが普通だろう。後から知ったことだが、水浴びをするときも、泉に続く一本道に「男子禁制」やら「女子禁制」の立て札をおくらしい。
 どうやら、男女間の羞恥心というか、倫理観ははっきりとしているようだ。
「ここだ。ゆっくりするといい。私の天幕までの道はわかるか?」
「え、ええ。大丈夫ですわ」

「そうか。では私は戻っているぞ」
 そう告げると、ラビィは来た道を戻っていく。
 外に人がいると気が気ではない。なかなか気が利く人物のようだった。
 マリンは安心して「♀」の印が下げられた小さな天幕へと入っていく。

「えっ!? こ、これは……」

 目の前に広がった光景にしばし愕然とするマリン。
 天幕の中には、溝が掘られた平べったい一枚岩があった。だが、その溝は決して深くなく、ごく浅い。
 さらに驚くことに、その溝の中にはカラカラに干からびて風化したソレが鎮座していた。
「ふ、風洗式……ですの」

 読んで字のごとく、乾いた風によって汚物を風化させ自然浄化させる方法である。
「し、しかも……サンドウォッシュレット……」

 溝付き一枚岩の便器の脇には、砂を積めた容器。
 平たく言えば、手で汚れを拭いて、清潔な砂でその手を清める。
 確かに、よく考えればここは砂漠。無駄遣いできる水があるはずがない。
「ま、マーファ様……」

 ひゅうう、と吹き込んだ風に、風化していたソレがサラサラと崩れるのを見て、思わずくらっとくるマリン。
 だが、延々我慢することなど出来るはずがない。
 どこへいっても砂漠しかない今、ここが一番安心してできる場所なのだ。
「………背に腹は変えられれませんわ」

 野糞をするよりは、ちゃんと仕切りも目隠しもあるここでするほうが何倍も何十倍も何百、何千倍もマシ。
 マリンは意を決して神官服の裾をたくし上げ、白いパンツの紐を解いた。
 ぱさりと脱げ落ちたパンツを手にして、真っ白なお尻を曝け出して一枚岩にしゃがみこんだ。

 しゃああああああああ〜〜〜〜!!!

「………っ」

 ぶるっと小さく震えると、まずは勢い良くおしっこが噴き出した。
 よくよく見れば溝は前方に向けて傾斜していて、傾斜の先には小さな穴がくりぬかれている。
 ぱしゃぱしゃと若干ハネならが、おしっこは傾斜にしたがってその穴へと溜まっていく仕組みのようだ。
「ふっ………ん」
 おしっこが途切れ、薄い陰毛からその雫が滴る。
 そのまま自然な流れで軽く下腹部に力を込めると、すぐにそれが顔を出した。

 にち……にちにちっ!
 ぶふぅ、ぶりゅ……ぶりぶりっ!!


 健康的な固形便。それがピンク色のひくつく肛門を押し広げ、次第にその全貌を現していく。
「んっ、くふ……はぁ……」

 
 むりゅむりゅむりゅっ!!
 ぶりり……
ぶすぅ〜〜〜〜っ、ぼとっ!!

「ああぁ……お、音が……」
 おならを伴い、1本目が溝の中に落下した。
 静かな砂漠の夜に、そのおならの音がやけに大きく聞こえる。仕切りはあっても、壁のように音を遮断するには頼りない天幕、外に人がいないかとひやひやする。
「ま、まだ出ますわ……」

 羞恥に顔が赤く染まりながらも、マリンの便意は治まらない。


 ぶりゅ、むちちちっ、みちみちっ、ぼどっ!
 ぶりぶりぶっ、ぼとっ!! ぷり、ぶすっ!!
 むりむりゅっ、べちゃっ!!


「ああ、いやぁ……こんなにたくさん……っ」

 ぷりっとしたお尻が震えながら、小出しに汚物をひりだしていく。
「ふぅぅ………はぁぁ……」

 そうしてすべてを出し終え、すっきりして大きなため息をつくマリン。気がつけば天幕の中は酷い臭いが充満している。
 その臭いに今まで以上に羞恥心が燃え上がり、顔が熱くなる。
「は、早く戻らないと心配させてしまいますわね……」

 とはいったものの、まだお尻を拭いていない。
 逆に言えば、自らの手で拭かなければならない。だからといって拭かないで出るなど、考えられない。
「……ああ、マーファ様。自然に生きよというのは、かくも厳しいときもあるのですね……」

 マリンは聖印に手を当て、マーファの名を小さく唱えた。
 そして、意を決してお尻に指を伸ばした。
「これは想像以上に厳しい試練ですわ……」


 にちゃり、にゅちゅ……

 肛門に指が触れた。瞬間、指先に生暖かい不気味な、自分の汚物の感触が広がった。
 気持ちが悪い。だが、拭かなければ出ることはできない。
 これは試練。自然と共に生きるということの一環だ。
 心の中で言い聞かせ、指を動かし汚れをぬぐいとる。
 ああ、下痢をしていなくてよかった。
 もし下痢をしていれば、この指先の感触も数倍心地の悪いものへとなっていただろう。砂漠の風を持ってしても、液状便を風化させるのにどれくらいの長い時間がかかるだろう。
 そうでなくとも、今は寒い夜。今しがたひり出したこれを乾燥し消し去ってくれるのも、明日の朝以降になるだろう。

 とてつもない羞恥心に押しつぶされながら、マリンは汚れをぬぐい終わった指を、砂で清めるのだった。
 マリンはまたひとつ、自然であることの雄大さと、隠れた厳しさを知ったのだった。




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